相続放棄をした空き家については、特に管理や処分方法に関して注意が必要です。

重要なポイントは以下のようになります。

相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人でなかったことになります。そのため、放棄した空き家の所有権や管理責任も放棄する形となります。しかし、完全に責任がなくなるわけではない場合もあります。

相続放棄後も、次の相続人や利害関係者が決まるまでの間、放棄者には一時的な「管理義務」が発生する可能性があります(民法第940条)。

相続放棄した不動産の管理義務は、長年にわたり明記されていませんでしたが令和5年より民法改正で具体的な部分まで定められるようになりました。

「相続放棄時点で相続財産を実際に占有していた相続人」と明記されたので、相続放棄者が占有していなかった財産に関しては管理責任が発生しません。

「相続放棄時点で相続財産を実際に占有していた相続人」に該当するのは、主に、故人が所有する自宅に一緒に住んでいた人や故人死亡後は相続放棄して引っ越すケースが考えられます。

一方で、相続関係にある人が誰も相続を希望しなかった場合で、「現に占有している者」もいない場合、国に土地を引き取ってもらえるということになりました。

空き家を適切に管理しないと、倒壊や周辺環境への悪影響などで行政から指導を受ける可能性があります。

相続放棄をしても、遺産(空き家を含む)が自動的に消えるわけではありません。

次の相続順位にある人(例: 兄弟姉妹、甥姪)が相続人となります。

相続人が全員放棄した場合、最終的に遺産は国庫に帰属しますが、国が自動的に空き家を管理してくれるわけではありません。

相続放棄をしても一時的な管理責任が発生する場合があるため、以下のような対応を検討する必要があります。

空き家を含む遺産の管理や処分を行うため、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらうことができます。

相続放棄をする前に、他の相続人と相談して売却や寄付を検討することも選択肢の一つです。

空き家が問題化する場合、自治体が設置している空き家対策の窓口に相談することで、解決策を提案してもらえる場合があります。

空き家に関する法律や税務、管理の問題は複雑です。

相続放棄をした場合でも、法律や不動産の専門家に相談することで、トラブルを回避し適切な対応を取ることができます。

• 弁護士や司法書士による相続手続きのアドバイス

• 不動産会社や自治体の空き家対策窓口への相談

相続放棄後の空き家の問題は放置すると状況が悪化することが多いため、早めの対策が重要です。

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