令和5年4月27日から『相続土地国庫帰属制度』がスタート
「親から相続した地方の土地だが、もう違う土地に家を建てて暮らしているため利用する予定はない。」「相続した山林を手放したいが買い手も見つからないので売却できない。」「近隣に迷惑をかけないようにと管理しているが、定期的なメンテナンスが大変なので手放したい。」というような、相続した土地を手放したいという声はよく聞きます。
現行の民法では、一部の財産を放棄して必要な財産のみを放棄することはできませんので、いらない不動産のみを放棄するということは不可能でした。
このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、
相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、
一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。(法務省HP minji05_00457.html )
簡単に言うと、相続したいらない土地の所有権を、国に返すことができる制度です。
しかし、なんでも帰属を認めてくれると言う訳ではありません。
管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件を設定し、法務大臣が要件を審査するとあり、この要件が意外とハードルが高いかもしれません。
また、その管理に要する10年分の標準的な費用の額を勘案して算定された負担金を支払う必要があります。
申請できる人
申請ができるのは相続又は相続人に対する遺贈によって、その土地を取得した人に限られます。生前贈与を受けた人や、売買などによって自ら土地を取得した人は制度を利用できません。
複数人で土地を共有している場合は、共有者の全員が共同すれば申請が可能です。共有者の中に売買などの相続等以外の原因により土地の共有持分を取得した人がいても、相続等により共有持分を取得した共有者がいれば申請ができます。
相続土地国庫帰属制度の施行前に相続等により取得した土地についても申請が可能となります。
土地の要件
通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地は不可とあります。
帰属の承認ができない土地の要件については、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号。以下「法」といいます。)において定められています。
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地(更地である事が必要となります)
B 担保権(例・抵当権)や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
(墓地、境内地、現に通路・水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている土地)
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物(放置自動車、樹木等)が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物(埋蔵文化財、ガラ、廃棄物等)が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
(・土砂崩落、地割れなどに起因する災害による被害の発生防止の ため、土地の現状に変更を加える措置を講ずる必要がある土地 (軽微なものを除く)
・鳥獣や病害虫などにより、当該土地又は周辺の土地に存する人 の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ず るおそれがある土地(軽微なものを除く)
・適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が追 加的に必要な森林
・国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を 法令の規定に基づき負担する土地
・国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の 金銭債務を国が承継する土地
以上、10の項目のいずれにも該当しないことが要件となります。
審査手数料
審査手数料は、土地一筆当たり14,000円です。
申請時に、 申請書に審査手数料の額に相当する額の収入印紙を貼って納付します。
ここで注意したいのは、手数料の納付後は、申請を取り下げた場合や、審査の結果、却下・ 不承認となった場合でも、手数料は返還されません。
負担金
国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金(10年分の土地管理費 相当額)を納付する必要があります。
帰属の承認を受けた土地がどのような種目に該当するか、またどのような区域に属しているかによって、負担金額が決定します。
宅地 → 面積に関わらず20万円 (但し、都市計画法の市街化区域、又は用途地域が指定されている地域内の宅地については、面積に応じ算定)
田、畑 → 面積に関わらず20万円 (但し、都市計画法の市街化区域、又は用途地域が指定されている地域内の農地、農業振興地域の整備に関する法律の農用区域内の農地、土地改良事業等の施行区域内の農地については、面積に応じ算定)
森林 → 面積に応じ算定
その他雑種地、原野、沼池、海浜地等 → 面積に関わらず20万円
この制度によって国庫に帰属する土地については、粗放的な管理(巡回のみ)で足りる土地が中心と考えられることから、巡回に 要する実費を踏まえ、負担金の額は、草刈等の管理を要する一部の市街地等の土地を除き、20万円となるが、草刈などの管理を要すると考えられる一部の市街地等の土地については、必要となる管理行為を踏まえ土地の面積に応じて負担 金の額を算定となります。
( 負担金額の自動計算シート(Excelファイル)はこちら )
承認申請の手続き
承認申請書を提出し、審査手数料を納付します。(申請時に測量の実施や境界確認書の提出は不要とする方向で検討中とのこと)申請先は、帰属させる土地を管轄する法務局・地方法務局の予定です。市役所ではありません。
受付後、法務局担当官による書面審査→法務局担当官による実地捜査→法務大臣による承認がされると、承認通知と負担金通知がされるので、負担金の納付を30日以内にします。
以下の場合は申請が却下されます。
・承認申請の権限のない人からの申請の場合
・要件に該当しない土地、申請書や添付書類、負担金の規定に違反している場合
・事実の調査に協力しない場合
申請の内容に偽りがあった場合や、不正をした場合には承認は取り消されます。
また、それによって国が損害を受けた場合には損害賠償を請求されることもあるので虚偽の申請はしないようにしましょう。
まだ建物も建っていて、制度を利用するには更地にする費用がかかる上に負担金もあり、申請も大変そう!と言う方は不動産会社に売却の相談をしてみてはいかがでしょう?
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✅静岡県にある不動産である事
✅当社で売却を依頼いただく事
この2点のみです。
売却依頼いただいた時から、草刈りや窓開けなどの管理と報告書作成を売却するまで定期的に行います。
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