「管理不全空き家」とは 指定で固定資産税が6倍に 空き家を放置していませんか?

令和5年6月7日、空き家の管理強化や活用策を盛り込んだ改正空き家対策特別措置法が参院本会議で可決、成立しました。

近年、空き家の数は増加を続けており、居住目的のない空き家は、この20年で1.9倍、今後も増加する予想です。

1998年では182万戸だった空き家は2018年には349万戸となっており、2030年には470万戸になる見込みです。

今後、更に空き家の増加が見込まれ、空き家対策の強化が急務となっています。

この改正空き家対策特別措置法は、こうした状況を踏まえ、周囲に悪影響を及ぼす「特定空き家等」の除却等の更なる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空き家の有効活用や適切な管理を確保し、空き家対策を総合的に強化するものです。

今回の改正で、最も大きなポイントは、状態は悪くないが1年程度住んで(使われて)いない「空き家」と、状態が悪く周囲に悪影響を及ぼすような「特定空き家」の間の空き家として、「管理不全空き家」というカテゴリーを設けたことです。
現状はひどく状態が悪化していないが、今後放置すれば「特定空き家」となり得るような空き家を「管理不全空き家」として指定することになりました。

これまで「特定空き家」になるまで対応しにくかった、行政による改善の指導・勧告が行えるようになります。

現状の試算では「管理不全空き家」は全国で50万戸にのぼる見込みです。


【特定空き家】

空き家対策特別措置法では、以下の状況に1つでも当てはまる空き家を「特定空き家」に指定しています。

① 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
② アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
③ 適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
④ その他、立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態


【管理不全空き家】

国土交通省としては今後、指針で定めるとしていますが、窓が割れていたり、雑草が繁茂したりしているものを想定しており、特定空き家同様に、行政が指導・勧告し、税の優遇措置を解除できるようにするものです。

周囲への迷惑や危険が具体的に確認できる空き家が対象で、各地方自治体により判断基準が規定されていますが、概ね以下のような内容が想定されます。

①空き家の屋根や壁が壊れていて、建物の倒壊の恐れがあるもの、また、屋根材、壁材等が脱落・飛散し、近所の家や歩行者へぶつかる恐れがあるもの。 

②樹木や雑草が繁茂しているもの

③塀等の工作物が壊れていたり、亀裂等により倒壊のおそれがあるもの。

④ゴミ等が放置され異臭を放っているもの。

⑤動物が空き家に住みついたり、はえ等の害虫が発生しているもの。

⑥建築物等が長期間(概ね年間を通して)にわたって使用されていない状態。


放置すれば「特定空き家」になるおそれのある空き家「管理不全空き家」に対し、管理指針に即した措置を市区町村長から指導・勧告、 勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地の特例措置(1/6等に減額)を解除されます。

この固定資産税の住宅用地の特例措置を受けられなくなるのが大きな負担となります。


【住宅用地の特例】

住宅用地の特例措置とは、住宅が建っている土地に対して固定資産税が1/6や1/3と減額される措置です。

住宅用地の区分固定資産税の計算式
小規模住宅用地(200㎡以下)固定資産税評価額×1/6×1.4%
一般住宅用地(200㎡超)固定資産税評価額×1/3×1.4%

例えば、300平方メートルの敷地では200平方メートルまでの部分が小規模住宅用地として、残りの100平方メートルは一般住宅用地として、土地価格に特例率(6分の1、3分の1)が乗ぜられます。

課税標準額に対し、税率(原則1.4%)を掛けた額が税額となります。(市町村は必要に応じて1.4%と異なる税率を条例で定めることができるため、原則1.4%となります。)

固定資産税評価額が1500万円の場合、

住宅用地の特例が適用されると→1500万円×1/6×1.4%=35,000円(固定資産税)

適用外となると→1500万円×1.4%=210,000円(固定資産税)

となり、適用される場合と適用外の場合とでは175,000円の差があります。

上記のように住宅用地の特例が適用されるかどうかで、税金の負担に大きな違いがあります。


この改正の施行によって、これまで諸事情により見逃されてきた管理不全状態の空き家が、一気に「管理不全空き家」に指定される可能性が高まることになります。

所有者にとっては固定資産税が安くなるとの理由で放置されてきた空き家を残しておくメリットはなくなり、残されるのは倒壊等著しく保安上危険な状態などから予想される空き家のリスクだけになるのです。

思い出の詰まった実家を残したかったり、後片付けが面倒だったりと先延ばしにしがちな空き家問題ですが、今後は空き家を所有し続けるリスクがどんどん増していくと予想されます。

  • 今後誰も住む予定がない。
  • 管理の手間や多額の費用がかかる事に負担を感じている。
  • 人口の減少・一戸建ての需要が減少している、もしくは減少が見込まれるエリアにある。

このような空き家は、早めに売却することをおすすめします。

空き家は時間がたつほど売れにくくなる上、解体のコストも高額になっていきます。

空き家の処理を長期間先送りにせず、空き家がまだ売れる段階で動き出すことが非常に重要となります。

なお、今空き家の売却をすると、空き家の3000万円特別控除の特例を条件を満たせば受けられます。


【空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例】

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例は、相続又は遺贈によって空き家及びその敷地を取得した相続人等が、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで(なおかつ特例の適用期間内)に、「被相続人居住用家屋(又は家屋及びその敷地)」あるいは「被相続人居住用家屋の敷地等」を売却した場合、一定の適用要件を満たしていれば、その売却に係る譲渡所得金額から、最大3,000万円を控除できる特例のことです。

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例(以下、空き家の譲渡特例)」は4年延長され、適用期限が令和9年12月31日までとなりました。

また、令和6年1月1日以降に行う譲渡については、耐震リフォーム・除却要件が緩和され、相続人等が3人以上いる場合は特別控除額の上限が減額される予定です。


売却をすぐにしない場合でも、「管理不全空き家」となって固定資産税が6倍になるリスクを避ける対策は、空き家でもきちんとメンテナンスすることです。

空き家には様々なリスクがあります→ https://o-three.jp/blog/空き家のリスク/

立木の選定や家の修繕、清掃などをきちんと行えば、地域への悪影響を防げます。

いずれ売却をと考えている場合には、売却をしやすくなるでしょう。

ただし、このメンテナンスには経済面でも労力面でもコストがかかります。

メンテナンス方法としては以下の事をしましょう。

・敷地内の雑草を除去するなど、放置せずに定期的な状況確認と管理を行いましょう。雑草や樹木は、特に春から夏にかけて繁茂します。この時期は必ず草刈りや樹木の剪定を行いましょう。

・定期的な換気や通水、カビや害虫が発生していないか、建物にヒビなどがないかのチェックを忘れずにしましょう。

・建物や工作物は、放置すると雨風にさらされて、次第に傷んでいきます。腐食が進むと、最終的には倒壊の危険が生じます。そうなる前に、屋根や外壁の塗装や修繕を行いましょう。

・不審者が侵入できないよう施錠などを徹底し、何かあれば連絡してもらえるように近隣の方に連絡先を伝えておくなどしておきましょう。

・遠方に住んでいて往復に時間や費用がかかる場合や、高齢のために管理ができない場合には、民間の管理会社に管理を委託するのも良いでしょう。


もし、土地を手放したくないなどの理由で解体を検討するなら・・・

空き家の解体費用に対して、補助金や助成金を活用できる場合があります。

空き家解体費用の補助の前提になっているものは、国土交通省が行っている「空き家再生等推進事業」で、空き家などを撤去、活用して地域活性化の促進を図るものです。

この事業により、国から各自治体に補助金の一部が補填され、各自治体の制度として住民に補助金や助成金が支給される仕組みになっています。

したがって自治体ごとに受け取れる金額や条件などが異なるため、解体を考えたらすぐに自治体に問い合わせましょう。

補助金は予算が決まっていて、受給できる件数に限りがあります。逆に助成金は受け取れる金額は少ないものの、条件に当てはまっていればほぼ誰でも受給できる特徴があります。

現在多くの自治体で空き家の解体・活用に関する補助金が活用できますが、税金が上がると申し込みが殺到して早期締め切りになる可能性が高いです。

住宅系の補助金は予算上限が決まっているため、一定数の申し込みで締め切られてしまうケースが多く、補助金が活用できないと空き家の解体やリフォームを全額自費でまかなうことになり、負担が増加してしまいます。

また、税金が上がった後では急激な需要増で業者の数が足りなくなるかもしれません。

解体業者不足になると、すぐ対応できずに予約待ちが出たり、価格の高騰、悪質な詐欺などの可能性も高くなります。

もし空き家の解体を検討するなら、税金が上がる前に動き出した方が良いでしょう。

建物の建っていない土地の固定資産税には住宅用地の特例は適用されませんので、そちらもご注意ください。

株式会社オースリーでは、お客様の大切な思い出の家をより良い条件で売却できるよう、不動産売却専門店の専門スタッフが丁寧にお話を伺い、対応いたします。

静岡県にある不動産に限り、無料で現況調査報告書📑🖋を作成いたします。現地の様子を調査🔍し写真📷を撮ってきますので、現在の状態を細かく知る事ができます。どうぞお気軽にご利用ください。

さらに、忙しくて管理ができない、手間や費用がかかるという方は、無料で管理をするサービスもご用意しております。当社の無料管理サービスを利用する条件は、

✅静岡県にある不動産である事

✅当社で売却を依頼いただく事

この2点のみです。

売却依頼いただいた時から、草刈り🏡や窓開け🪟などの管理と報告書作成を定期的に売却するまで行います。静岡県に相続した空き家をお持ちの方は、是非ご利用ください。

オースリー のサイト、お問い合わせページ https://o-three.jp/inquiry/   から、または、お電話(0538-37-5571)にてお問い合わせください。

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